+ 新しい世界へ +
 

            

 気が付けば  傷ついた街

たった一人で  いつのまにか

誰もが辿り付く  傷ついた街に

何も持たずに  佇んでいる

  

誰もが目を細めて  誰もが咳き込んで

誰もが空を見上げる

そんな街

  

閑散とした道を  飛んでゆく紙切れ

人が消えた繁華街に  彩りはもうない

  

薄汚れた路地

カタカタ鳴る看板

乾いた砂が時折舞う

決して届くこともない

はるか遠くで照りつける太陽

疲れた体が焦がされていく

  

目を開ければ灰色  目の前全てが灰色

埃くさい街

何気なく世界が終わる

優しく  切なげに  まとわりつく

そんな終わり

  

誰もいないのに

辺り一面に

響きわたる踏み切りの

僕らの頭を押さえつけるように

遮断機が落ちる

  

傷ついても

自由はまだ求めてるから

忘れてないから

  

そのために何かを探してる

何かって、何だろ

  

目の前に生えてる虫喰いだらけの雑草

誰かに蹴られて割れたビンの破片

きっとそんな感じにつまらないもの

  

どこかで誰かが歌ってる

たった一人の歌が

真っ白な雪のように

心に染みわたる

優しく  冷たく  厳しく  綺麗に

傷ついた心を包む

  

愛しい人と肌を重ねたような

あたたかくて  切なくて  離したくなくて

それしかないような

唯一の明かりのような

  

いつしか僕は走りだす

目に砂が入って  渇いた喉が痛くて

それでも

馬鹿みたいに僕は走る

 

熱くて痛い

眩しくて見えない

溶けていく体

  

ああ

そうか

僕がいた場所は楽園だったんだ




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