+ 夢小説5 +

やまもと(仮名)ちゅんキリ番1111ゲット記念です。
現実にいる人間、他にも名前変えて登場してます。
やまもと(仮名)ちゅんが出てくる時は、いっつも他の皆も出てくるんだもん。


2002年11月19日 「卒論」

 なんとか知ってる人のとこで止まらなきゃ・・・!
 5メートル幅のツルツルした坂を、私は滑っていた。
 あまりにツルツルしているので、止まらない。
 両脇にはぽっかり穴がいくつもあいている。
 なんとか、穴に入って止まらなきゃ・・・!
 あの穴には、知っている人を見つけると入ることができる。
 私は、坂を滑り落ちながら、必死に両側の穴を見た。
 あの人も知らない!
 あの人も知らない!
 誰かー・・・!!
 顔を左右にフリフリしながら、穴に助けを求める。
 あ・・・!!
 あれは・・・!!
 あの、穴の中にちゃぶ台を置いて、何やらプリントを見ている人は・・・!!
 あの、やけに長身チックで見た目マジメっぽい人は・・・!!
 やまもと(仮名)ちゅんだーーーーっ。

 その瞬間、私の体はやまもと(仮名)ちゅんのいる穴の方へと吸い寄せられた。
 やれやれ・・・。ようやく止まった。
 やまもと(仮名)ちゅんは、「?」という顔でこっちを見る。
「もーっ。いるならいるって言ってよぉ。危うくこのまま落ちるとこだったじゃん!」
「いや・・・。卒論やってて全然気にしてなかったから」
 さらっと流される。
 私が生きるか死ぬかって時に、のんきなものだ。
 ちょっとむかつきながら、聞く。
「卒論って何やってるの?」
 やまもと(仮名)ちゅんは、メガネをキラーンと光らせて答えた。
「玉虫の歴史」
 ・・・パソコン関係じゃなかったっけ?
「た・・・玉虫・・・?」
「うん。玉虫」
 ちょっとウキウキした様子で頷く。
 もしかしたら、玉虫のCGについてとかかもしれない。
「・・・ちょっと見せて」
 私は、やまもと(仮名)ちゅんの持っていたプリントをぶんどる。
 
 1.玉虫について
 1.1 玉虫のヨガ
 1.2 玉虫の瞑想
 1.3 玉虫の浮遊

「玉虫がこんなことするかーーーっ」
 そう突っ込みを入れる私に、彼は手を横にふった。
「いやいやいやいや。するんだよ。これが」
「んな、ばかな!」
 思いっきり否定する私に、彼はガサガサとプリントを探る。
「あった、あった。これこれ」
 渡されたものは、写真だった。
 玉虫が飛んでる。
「ほら。浮遊」
「・・・これは飛んでるだけでしょ!」
 なおも否定する私に、彼はまた、手を横にふる。
「他にも資料はある」
 渡される何枚もの写真。
「こ・・・これは・・・」
 私は絶句した。
 玉虫がヨガをしている様子が描かれた、洞窟壁画。
 玉虫が瞑想している様子が彫られた、ルネサンス様式の建築物。
 玉座の上で、空中浮遊する玉虫。どうやら宗教団体の教祖らしい。
「浮遊する玉虫のビデオだって入手済みさ!」
 とっても嬉しそうに胸を張るやまもと(仮名)ちゅん。
 言葉が出ない・・・。
 まさか・・・。
 玉虫にこんな歴史があるとは!!!
 これは、ノーベル賞ものかもしれない!!!
「謝辞に、私の名前入れておいて☆」
「嫌」
 間髪いれずに断られる。
 がっくり。
 他の人の卒論も見たいなぁ。
 そう思った私は、隣の穴へとうつることにした。
 この時にはすでに、そこは坂になっておらず、平地だった。
 やまもと(仮名)ちゅんのいる穴から這いつくばって抜け出た時だった。
「うめにょんだ」
 そこには李風がいた。後輩である。
「何やってるの?」
 首をかしげる李風。
「あのね! 玉虫って飛ぶんだよ」
「そりゃ、飛ぶわ」
 頭にチョップを入れられる。
「違うの! 浮遊するの!」
 首をかしげる李風。
「まぁ、いいや」
 どうやら、私と話してるのが飽きたらしい。
 周囲を見て、他の女の子サーチ中になっている。
 こんなのはほっといて、他のターゲットを探そう・・・。
 玉虫について語れる人間を探すため、立ち上がろうとした。
「あ、先輩だ〜」
 今度は斧君が現れた。彼も後輩である。
「先輩、先輩。さっきいいもの拾ったんですよ」
 どうやら、私が話を聞く側にまわってしまうようだ。
「ほらほら。見てみてください」
 斧君は嬉しそうに1枚の紙を見せる。
 なんだか嫌な予感がするなぁ。
「こ・・・これは・・・」
 
 それ行け! 玉虫君!
 ある日うめにょんが歩いていると
 そこには黄金色に光る玉虫が・・・以下略

 玉虫の歌だった。

「なんで、私が登場してんのよ!」
「知りませんって。さっきそこで拾って、そのまま持ってきちゃいました」
 やっちゃったーっという顔で笑う斧君。
 いったい、誰がこんなの書いたのだろう。
 ・・・やまもと(仮名)ちゅんか・・・?
「先輩、玉虫について詳しいらしいですね〜」
 ポンポン、と肩をたたかれる。
 意味が分からない。
「実は、岸河さんが話聞きたいらしいんですよ」
「・・・」
「あ、知ってますよね? 3年の女の子で〜」
「はいはい。もちろん知ってますよぉ。あの元気なコねん」
 しかし・・・。
「でも、私、玉虫についてなんてあんまり知らないんだけどね・・・」
「ええ!? マジで? だって歌にもこんなにハッキリ書いてあるし」
「んなこと言われてもなぁ・・・」
 しばし考える。
 まぁ、二度手間だけど、私がやまもと(仮名)ちゅんに聞くって手もある。
「やまもと(仮名)ちゅんに聞けるくらいの知識でよければ、いいけど・・・」
 しかし、それでいいのだろうか。
「ほんとですか? じゃぁ、そう伝えておきますね〜」
 ニコニコ笑って、颯爽と消えていく斧君。
 私の話を聞いて! 玉虫はヨガをするのよ!
 ・・・と、言うきっかけを逃し、おとなしく見送る。
 どうしようかなぁ。
 とりあえず、もっかいやまもと(仮名)ちゅんに話を聞こうかなぁ。
 そう思った時だった。
 
「ははん。久しぶりだなぁ。ハニィ」
 黒メガネに黒スーツの男が煙草を吹かしてやってきた。
 肌も黒くて、ギャングみたいだ。
 昔、私の家に住んでいた男である。
 もちろんそんな男は現実にはいない。
 それどころか、この人だけは唯一二次元(アニメ絵)である。
 彼に虐待されていた、ありもしない記憶を思いだし、私は恐怖に震えた。
「な・・・なんで、あなたが・・・」
「ふ。懐かしさのあまり、震えているようだな」
 ニヤニヤと笑うその男には、嫌悪感しか感じない。
「お前も今は幸せそうに暮らしているそうじゃないか」
 煙草を床に落とし、ギャリっと踏みつぶす。
「お友達にも挨拶しなきゃなぁ」
 顔を近づけてくる男を、思いっきり睨みつける。
 もし、友達を紹介しなきゃいけなくなったらどうしよう。
 友達とも呼べないような、どうでもいい人間を差し出そうか。
 誰か、不幸になってもいいやって思えるような嫌な人間いたかな・・・。
 男を睨みつけている間、とっても失礼なことを考える。
「まぁ、こんな世間話はどうでもいいんだ」
 世間話だったのか。
「そろそろ。本題に入らせてもらおう」
 恐怖で胸がドクンドクンとなる。
 いったい、この男は、何を言い出すのだろうか・・・。
 
「俺が戻ってきたのはな・・・、玉虫のことでお前に聞きたいことがあったんだよ」

 力を失い、がっくりとうな垂れたところで・・・。
 目が覚めた。

 

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