<金融>
 まず、序章として、金融機関の代表「銀行」を最初に作った「渋沢栄一」という人の話をするわ。
彼は、江戸時代に西洋へ渡った。そして、色んなものの「規模のでかさ」に驚いたの。
スエズ運河(当時建設中)という紅海と地中海を結ぶ運河。壮大な石造りの建物。
「なんで、こんなに規模の大きい物が作れるんだろう?」
「そんなにまで、金持ちの人がいるというのか?」
「日本の幕府よりもでかい権力がお金を市民から無理やり吸い上げたのか?」
そして、彼はその謎を解くことができたわ。
その秘密は銀行にある、と。
日本は変わらなければならない。
日本の人々を豊かにしたい。
銀行は、人々から無理やりお金をもらっているわけではない。
人々が自主的に銀行にお金を貸している。
そのお金が、大きい規模のものを作る。
これこそ、人も社会も国もよくなるシステムだと。
そう気づいたの。
日本に戻った渋沢さん。
その思いから、彼は「銀行」を日本で最初に作り、銀行の法律も作ったのよ。
その後も彼は、いくつかの危機を乗り越えて、銀行を守り続けた。
今の日本経済の基盤を作った人なの。
 すごい人なんですね・・・っ。
 ええ。彼がこれほどまでに魅せられた「銀行」。
今日の話の中心はこの「銀行」よ。
日本の発展になくてはならないものだった、銀行。これから皆もお世話になっていくのだから、ちゃんと理解しましょう。

<金融と銀行>
 まずは、「金融」という言葉。言葉くらいは聞いたことがあるんじゃないかな?
個人や企業の間で資金を貸し借りすること。つまりね。お金のあまっているところが、お金の足りないところに一時的にお金を貸すことなのよ。
 お! 金がねーとこに貸してくれるのか。いいもんだねぇ、金融ってのは。
 ええ、とってもいいものよ。そして「金融機関」っていうのは、お金を貸す側と借りる側の間で、仲立ちをするところなの。ただ、それだけ言っても想像つかないよね? だから、「金融機関」の代表である「銀行」の話を今から詳しくやるのよ。
 は〜い。ん? お金を貸す側と借りる側? 銀行ってそんなことしてるの? お金を預かってるんじゃないの? 私もお年玉とか銀行にためてるよ。
 んっふっふっふ。そこが間違えやすいポイントなのよ。銀行は私たちのお金をずーっと置いておくだけじゃないの。それじゃぁ、もうからないでしょ? 銀行も会社だもの。
 何ぃ〜。じゃぁ、どうやってもうけてるんだ?
 まずは愛ちゃんの質問からね。銀行はお金をただ置いておくだけではなくて、私たちからお金を借りて、それを他の人に貸しているのよ。これを「貸し出し業務」と言うの。
 えーっ。じゃぁ、私がもらったお年玉も、全部銀行に貸してるってこと? そのお金が他の人に渡ったりしてるの?
 ええ。そういうことよ。まず、私たちからお金をいったん借りる。預かる。これを「預金業務」というわ。そして、お金を預けてくれたお礼として、銀行は余分にお金をくれるの。愛ちゃんが銀行に1億円貸したら、銀行はお礼に1年間で20万円つけてくれるのよ。これを「利子」とか「利息」とか「金利」て言うの。
 へ〜。貸しておくとお金が増えて嬉しいね♪
 そうね! 次に寿君の質問ね。銀行はさっき言った「利子」ってものでもうけてるのよ。例えば、銀行が寿君に1億円貸したとするわ。そうしたら、寿君は1年間にお金を貸してくれたお礼として300万円余分に払わなきゃいけないの。この、余分に払うお礼のことを、さっき言ったように「利子」と言うのよ。
 うげ! 借りると高くつくんだな・・・。でも、何で俺が借りたら300万払わなきゃなんねーんだよ。銀行が俺らから1億借りたら20万なんだろ? 不公平じゃん。
 それが、もうけってやつよ。会社はもうけなきゃ、やってけないんだから。
 「市場価格」でやった話ですね!
 ええ。他にも銀行の仕事はあるけど、この2つ「預金業務」と「貸し出し業務」が1番主な仕事ね。
銀行がもしなかったら、企業はお金を借りることができないわ。そうしたら、大きな仕事ができなくなっちゃう。お金が足りなくてね。銀行は、私たちがお金をたくさん貸してあげてるから、他の人や会社にたくさんのお金を貸すことができるの。お父さんやお母さんが銀行からお金を借りて、家を建てたり車を買ったり、いい暮らしもできるのよ。
 なるほどな。銀行はどでかい夢を叶えてくれる助けってわけだな!
 その通り! だから、銀行がお金を皆に貸さなくなったら困っちゃうの。やりたいことをできない人が増えちゃうわけだからね。じゃぁ、ここまででまとめるわ
1.金融と銀行
@金融・・・個人や企業の間で資金を貸し借りすること。
A金融機関・・・資金の貸し借りの仲立ちをする機関。「銀行」が代表的。
B銀行の仕事
  ・預金業務 ・貸し出し業務  など

<日本銀行>
 次に、テストに出やすい「日本銀行」の話に入るわ。
 日本銀行と普通の銀行って違うんですか?
 そうよ。全然違うの。まず、日本銀行は政府(国)と銀行とだけ取引をしているのよ。
 なぬ!? ってこたぁ、日本銀行に金を貸してやるのも政府と銀行だけってことか?
 その通り! 銀行は「政府の銀行」と言われて、国のお金の出し入れを管理しているの。また「銀行の銀行」とも言われて、一般の銀行のお金の貸し出しと預かりもしているのよ。その他の仕事として、私たちの持ってる千円札や一万円札などの紙幣を発行する「発券銀行」としての役割もあるわ。
 へ〜、普通の銀行とは違うんだ。でも何で? 一般の人にも貸してあげればいいじゃん。
 それはね。そもそも日本銀行は普通の銀行と違う目的を持っているからよ。
「日本銀行」は日本の「中央銀行」として、国のお金やお金に関するシステムの管理をするところなの。
お金もうけのためではないのよ。目的が違うから、やることも違うの。
 管理? どうやって管理するってんだ?
 まず、1つ目の役割「政府の銀行」ってことから始めるね。国は私たちから税金を集めているわ。
せっかく国がよくなるようにって私たちが払った税金。これがなくなったら国が大変。
だから、きちんとお金を管理するのよ。
 今は銀行がつぶれる時代だもんね。確かに、国には安心できる銀行に税金を預けておいてほしいな。「なくなりました」なんて、あっちゃいけないもんね。
 そうそう。次に2つ目の役割「銀行の銀行」であるがゆえの、お金の管理の話ね。
ここが大切よ。日本銀行は、普通の銀行にもお金を貸し出すの。
例えば、「あのAという銀行危ないらしいよ」って噂が流れちゃってA銀行にお金をおろす人がつめかけたとするね。そんな時、もし銀行にお金がなくて皆に渡せなかったらどうだろう?
 金おろしに行ったら金がおろせねーんだろ? この銀行、マジやべーとか思うな。
てゆーか、俺のお年玉返せ!ってやつだな。
 そう。おろせないと余計に不安になるよね。でもね、銀行は色んな人や会社にお金を貸し出しているから、手元にあるお金は限られてるの。そんな時のために、日本銀行がお金を貸す役割を担っているのよ。
 銀行にとっての、最後の助けなんだね! 私のお年玉はちゃんと返ってくるんだ! よかったっ。
 ええ。だから「最後の貸し手」とも呼ばれているわ。でも、他にも重要な役割があるのよ。日本銀行が普通の銀行にお金を貸す時、同じく利子をもらうの。これを「公定歩合」と言うわ。
 日本銀行へのお礼だな。
 ええ。この「公定歩合」を動かすことによって、なんと!景気を左右してるのよ。
 えーっ。日本銀行さんへのお礼なんでしょ?公定歩合って。なんでそれが景気に関係するの!?
 日本銀行が、いつもより安い利子で普通の銀行にお金を貸すとするわ。そしたら、普通の銀行はいつもより安くお金が手に入ったことになるよね?
 そらそうだ。普通の銀行、いつもより金が手に入ってラッキーだな。
 うんうん。そうすると、普通の銀行は、皆に対しても安くお金を貸すことができるの。
お金に余裕ができてね。
 ふむふむ。私たち皆も安くお金が手に入ってラッキーだね!
 ええ。で、どうなるかって言うと、会社はいつもよりたくさん入ってきたお金で、いつもよりたくさんのことができるわけ。大きな仕事とかね。皆のお父さんやお母さんも、いつもよりたくさんお金を借りられるから、大きな買い物ができる。
 ほほう! で、会社はもうかって、景気がよくなるわけだ。
 だんだん、論理的な考え方ができるようになってきたわね! その通りよ!
そして、借りる時は利子が安いから今みたいにたくさん借りられるけど、貸す時は損なの。
利子が安いと、銀行にお金を貸してもあんまり増えないの。銀行からもらえるお礼が少なくなるわけ。
 えーっ。お礼少なくなるの〜? やだなぁ。
 そうね。そう思って、皆銀行にお金を預けなくなって、余計にお金を使うようになるわけ。
それによって、よけいに景気がよくなるの。
 なるほどな。つまるところ、皆がいっぱい金借りていっぱい色んなもん買うっちゅーわけだ。金利が低いとな。
 そう。その金利を左右するのが、日本銀行の金利、つまり「公定歩合」よ。
今寿君が言ってくれたように、皆がお金を借りて買うようになるのね。
それはね、世間に出回ってるお金が増えたってことよね? 
 えと。銀行からお金がたくさん出ていってるんだから、そうだよね。
 そう。銀行とか金融機関を除いて、私たち個人や会社の持っているお金を合わせた金額を「通貨供給量」って言うのよ。日本銀行はね、「公定歩合」を調整することでお金が出る量を調整している。つまり「通貨供給量」を調整しているのよ。
 なんっつーかさ。難しそうな言葉使ってるだけでさ、内容は結構単純なんだな。
 そう! それに気づくことが大切なの!
今は「公定歩合」を安くした場合だけれど、逆に高くした場合について話すわ。逆になるだけだけど。
じゃぁ、皆に聞こうかな。愛ちゃんが普通の銀行ね。私が日本銀行。愛ちゃんはお金を私から借りたい。そんな時に渡さなきゃいけないお礼「公定歩合」の金額が高い。いつもよりたくさんの金額を払わなきゃいけないの。楽になった? 苦しくなった?
 苦しいよぉ。たくさん払わなきゃいけないなんてやだー。
 そう。苦しくなる。だから、普通の銀行も皆にお金を貸す時の利子を高くしちゃうの。
 えーっ。そんなん借りたくねーなー。やっすい時がいーよ。
 そう。だから皆お金を借りなくなる。そうすると大きな仕事ができない。皆も大きな買い物をしなくなる。
 ああ。だから、会社がもうからなくて、景気が悪くなるのか〜。
 そういうことよ。通貨供給量を少なくしてるわけ。
皆が物を買わないと、商品は売れなくて、「デフレ」になる。
皆が物を買うと、商品は売れすぎて「インフレ」になる。
「デフレ」と「インフレ」の話はもうやったわね? 覚えているかしら?
これを防ぐために、日本銀行は公定歩合を調整したりして、お金の価値を守っているのよ。
 じゃぁ、ここまでをまとめるわ。

2.日本銀行・・・お金の管理をするところ
 @特徴:政府と銀行とだけ取引をする。
 A役割
   ・政府の銀行:国の資金の出し入れを管理
   ・銀行の銀行:一般の銀行との資金の出し入れ
     →公定歩合(日本銀行が一般の銀行に貸し出す時の金利)の調整
      →通貨供給量(現金と銀行預金の合計。世の中に出回っているお金ののこと)を調整。
      ☆ポイント
       ・不景気→公定歩合を下げる→銀行の金利も下がる
        →お金を借りやすい・預けても増えにくい→通貨供給量が増加して景気よくなる
       ・好景気→公定歩合を上げる→銀行の金利上がる
        →お金を借りにくい・預けると増えやすい→通貨供給量が減って景気が落ち着く
   ・発券銀行:我が国の紙幣「日本銀行券」発行


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