<ものの値段>
 皆は、物を買う時どうしてるかな?
商品を選んで、レジに持っていって、値段を聞いて・・・。それから?
 財布の中を見て、お金を出してます〜。
 そうだね。物には値段がついてるもんね。
何もしなくて物が手に入れば嬉しいけど、物には限りがある。
だから、お金を出さなきゃ買えないし、売る人は売るし、ない物は作る。
そーゆー世の中の仕組みの中で、いったい物の値段、どうやって決まってるんだろ?
今日は、その、物の値段の話をするよ。

<市場価格>
 まず、物の売り買いの舞台となるのが、市場。
市場っていうのは、商品が売り買いされる仕組みのことだよ。
 なんか、意味わかんねー。
 例えばね、魚とか水産物を売り買いする卸売市場(おろしうりしじょう)ってところでは、その魚を買いたい人が値段を言って、1番高い値段をつけた人が買えるシステムで値段が決まってるの。
 私、見たことないから分かんない・・・。
 なんか、想像つかねーんだよな。物の売り買いなんて、そこら辺でやってんじゃねーか。
 そう! いいとこに気づいたね! 実は、皆も市場に参加してるんだ。
例えば、ゲーム市場。
新しいゲームは高いでしょ? だって、皆新作だと高くても買ってくれるもん。
でも、もっと新しいゲームが出て、そのゲームが古くなると、皆買わなくなる。
だから、買ってもらえるようにって値段が安くなるの。
 な〜るほどぉ〜。でも、なんかそれって当たり前って感じがするなぁ。
 そうなのよ。その当たり前のことを、覚えていくだけのことなのよ。
今言ったことを、テストに出るような言葉で言うとね。
まず、「需要」。これは、買い手が買いたいなーって思う量のこと。 
 シーマン欲しいなーとか、そーゆーことか?
 そうそう! 何かを買いたいなって思ったり、買ったりするだけで、皆市場に参加してるの。
次に「供給」。これは売り手が売りたいなーって思う量のこと。
 写メールのできる携帯電話、売りたいなーって思う量のことね?
 その通り! 買おうとする商品の量が需要。売ろうとする商品の量が供給。覚えたみたいね?
じゃぁ、今までのところをグラフに書くよ! このグラフ、テストにでやすいからチェックね!

赤線が需要曲線。青線が供給曲線よ。
両方とも一緒のグラフに書いてるから、下の横線は供給量も需要量も表しているのよ。

値段、つまり価格が高い黒線をまず見て?
例えば、鉛筆を買おうと思って文房具へ行って・・・。
そして、鉛筆1本1万円だったら買うかな?
 買わねーなぁ。当たり前じゃねーか。
 うん。そうだよね。値段が高いと、欲しいなって思う人も少ない。だから、買いたいと思う量「需要」も少ないの。
値段の高い黒い横線と、需要の赤い曲線が交わってるところを下に辿ると、どうなってる?
 「少ない」って書いてあります。値段が高いと需要が少ない。鉛筆1万なら、買う人も少ないってことですね?
 そりゃ分かったよ。だが、値段高い時ってグラフを見ると供給が多いな。
 そうなの! 鉛筆が、例えば1万円で売れたとする。何かプレミアがついてね。
そしたら、店の人は大喜びよね。鉛筆が1万円で売れるんだもん。
そしたら、もっといっぱい売りたい!って思うようになるの。
もうかるわけだからね☆
つまり、値段が高いと、需要は少なくて供給が多いってことね。
えーっと・・・。買いたい人が少なくて、売りたい人が多い、と。
そうそう。混乱しやすいところだから、バッチリ覚えようね!
じゃぁ、次に安い場合。鉛筆を買いに行ったら、なんと1円!
どう?
 なんか、安すぎてこえーな。まぁ、大量に買っといて、誰かに100円で売るって手があるな。
 ・・・。それはよくないことよ?? やるなら、「1円で買った」ってことを言った上でやらないと、騙しになるわ。それはさておき。安いと、買おうかなって気になりやすいの。だから、100円ショップで意味なくたくさん買ったりしちゃうのよね。
 その気持ち、とってもよく分かります。つまり、値段が安いと、買いたい量「需要」が多くなるんですね?
 そうそう!(綺麗にまとめられて出番がなくなってきたわ)
 で、値段が安いと、店の売る気がなくなるってわけか。簡単だな。
 よく分かったわね! 鉛筆1円で売ってちゃ、商売あがったり。
もうけるどころか、損しちゃう。だから、売ろうとする気持ちがしぼんじゃって、供給量は少なくなるのよ。
ちなみに、この需要と供給。密接なつながりがあるの。
それが、このグラフに書いた、ピンク色の矢印よ。
 なんか、真ん中に向かってますね。
 うんうん。じゃぁ、復習をかねてその話をするわ。
まず、価格が高い時、需要と供給はどうなった?
 高いからー・・・買いたくねーけど売りたてーわけだ。需要は少なくて供給は多いな。
 そう。じゃぁ、例えば需要が3で供給が10だった時、どうなるか。
欲しい数より売りたい数のが多い。7個、商品があまっちゃうよね?
商品があまっちゃうよりかは、多少安くしてでも売ったほうがまだマシ。
お金が手に入るわけだからね。
つまり、需要が低くて供給が高いと、だんだん価格は低くなっていくの。
上から真ん中に向けて下がってる矢印ね。
 最初に言ってたゲームの話ですね! 買う人が少なくなるから値段が下がってくって。
 そう。よく覚えてたわね! じゃぁ、価格が安い時、需要と供給はどうなってたかしら?
 安いからー・・・買いてーけど売りたくねーわけだな。需要は高くて供給は少ないぜ!
 その通り! もう完璧ね! じゃぁ、例えば需要が10で供給が3だったらどうなるか。
欲しい人がいっぱいなのに、商品が足りない。
これなら、もっと値段を高くしても売れるんじゃない?っと売る側は思うわけ。
買う人も競争して買うしね。
 つまり、需要が高くて供給が低いと、価格は高くなってくんですね!
そう言えば、昔、たまごっちがすっごく高くなってたなぁ・・・。
確か、定価は3000円くらいだったのに。
俺、3万で売られてんの見たぜ? フリーマーケットでよ。
需要が多すぎるのも、考えもんだな。
 それが、流行のこわいところね。
とにかく、需要が高くて供給が低いと、価格は高くなっていく。下から真ん中に向けて上がっている矢印よ。そして、上下左右の矢印が行き着くバランスのとれた量を取引量。価格を均衡価格って言うの。均衡の「」は難しい字だから気をつけてね。ちなみに、この需要と供給の関係で、バランスがとれてるにしろとれてないにしろ決定する価格のことを市場価格って言うのよ。
売られている価格のことね。
需要と供給の変化。これは、文章で過去の入試問題にも出たわ。しっかりと覚えようね。
 は〜い。買うほうと売るほうの気持ちになって考えれば、覚えられる気がするな。
 うんうん。簡単なことをキッチリした言葉で覚えるだけだからね。じゃぁ、次に、価格に含まれているものの話をするわ。
だいたいこれはこれくらの値段だってもの、あるでしょ?テレビが100円ってことはなかろう、とか。物には「だいたいこのくらい」っていう値段がある。それは何でかって言うとね、商品を作るまでにもお金がかかっているからなの。商品を作るための機械。機械を動かすための電力と働く人の給料。そうやって作るためにお金がかかってるのに、安くしすぎたら損しちゃう。だから、価格には「生産にかかった費用(生産費)」が含まれているの。
 でもさ、安売りとかしょっちゅうしてるぜ? 会社は損しねーのかな。
 価格には、この生産費に「利潤」がプラスされているのよ。もうけなきゃ会社はつぶれちゃう。会社を大きくするためには、生産費に余分につけるお金「利潤」をつけなきゃいけない。ただ、経営がうまくいかなかったりとか色んな理由で「もっとお客さんに買ってほしい」って思った時。やっぱりお客さんは安い物を買いやすい。それはさっきやったよね?だから、利潤の割合を少なくして、安売りをするの。たまに、一部の商品だけ生産費以下の値段にしてお客さんを呼んで、ついでに他の商品も買ってもらおうとすることもあるけどね。
 確かに、スーパーの安売りに行ったついでに、お母さん、いろんな余分な物買ってるなぁ。
つい買っちゃったわって、よく言ってるもん。
 それそれ! それからね、お店の人だけ得しても仕方がない。作ってる工場の人たちだけ得しても仕方がない。会社は皆、「利潤」っていうもうけがないと大きくなれない。だから、生産者も、小売業者も、卸売業者も、それぞれ経費と利潤をプラスしているのよ。
生産者は「生産費」と「利潤」をプラスした「生産者価格」にする。卸売業者さんは、「経費」と「利潤」をまた加えた「卸売価格」にする。そして、小売業者さんも「経費」と「利潤」をまた加えた「小売価格」にして、販売するわけ。
 それを俺らが買ってると。俺らが物を買う頃には、相当高くなってるわけだ。
 高くなってるわけだー。簡単に言えば、商品を扱ってる会社が、かかったお金ともうけをプラスしてるから、高くなってくってこと。
ここは、「生産者」と「卸売業者」と「小売業者」の役割をきちんと分かっていないと混乱しやすいわ。
それは前やったところだから、きちんと復習して、そっちも理解しておこうね。
  じゃぁ、最後にまとめるわ。

1.市場価格・・・需要と供給の関係で決定する価格
 @市場:自由に商品を売り買いする場
 A需要供給
   需要:買い手が買おうとする量
   供給:売り手が売ろうとする量
 ポイント(過去の入試問題にも出たぞ!!)
  ・価格―需要 需要供給 →価格
         供給
  ・価格―需要 需要供給 →価格
         供給

2.価格のうちわけ
 ・価格=費用+利潤

  
  ←―→ 生産者価格(生産費+利潤)
  ←――――→ 卸売価格生産者価格+経費+利潤)
  ←――――――――→小売価格(卸売価格+経費+利潤)
 ところでよ。ふと思ったんだよ。センセー、さっから値段って言いながら、書いてんのは価格だよな。値段と価格の違いってなんだ?
 (う!!)意味はほとんど同じよね。辞書にも「値段」のところに「価格」って書いてあるし。意味は同じと言っていいわ。
ただ、普段は皆微妙に使い分けてる。「オープン価格」とか「セット価格」とか「びっくり価格」とか、売る側がよく使うわね。特に、公の場で表示する時。「広告」や「ポスター」で、きちんとした金額だっていうカッチリした時に使うことが多いわ。だから、テストでも「価格」っていうカッチリした言葉が使われることが多い。その反面、「値段」は、何げなく会話で使うことが多いの。「値段」の「ね」は、「稲」の「ね」が語源だと言われているし。お店の人が「オープン価格なので、この値段です」って使ったりもするわ。「値段」のほうが、どことなく頭の中で何げなく考える金額っていうイメージで使われるわね。親しみやすい雰囲気もあるしね。

<独占価格>
 今までは、需要と供給の関係で決まる「市場価格」についてやってきました。
が、実は、これだけでは決まらない価格ってものがあるのだ!!
 断る。
 いや・・・断られても。あるものはあるのよ〜っ。主に、2つあるの。
1つ目が、ここでやる「独占価格」よ。
 独占しちゃうんですか? それって嫌な響きです。
 そうね。私たち消費者にとっては、嫌なことね。
「独占価格」っていうのは、少数の大企業が一方的に決める価格のことだもの。
 俺らにしてみりゃ、何でも勝手に決められてる感じがするけどな
 ええ。でもたいていは需要と供給の関係。
ただし、もしビールが飲みたいなって思ってて、ビール会社が1つしかなかったらどうする?
どうしても飲みたいけど、ビールを売ってる会社が1社だけなら・・・。
その会社が設定した値段で買わざるをえないよね?
高ければ、高い値段を払うしかないの。
 ひどい!
 そうねぇ・・・。でも、これに近いことは現実に起きているのよ。
さっき言ったビールは、主に4社が占めているの。
お父さん、ビール飲むかな?
 毎日飲んでるぜ。ヨタヨタ帰ってくんだよ。そのうちオヤジ狩りにあわねーか心配だな。
 それは心配ねぇ。ほどほどが1番よ。お父さんが飲んでるのは「キリン」「アサヒ」「サッポロ」「サントリー」のどれかの可能性が高いわ。こうやって、少数の企業で占められていると、消費者はその中から買わなきゃいけなくて迷惑以外の何ものでもないの。
企業に有利な高い価格になりやすいからね。企業同士の競争って、大切なのよ。生産量も調整されたり。供給量が調整されても、やっぱり相手の思うがままの価格になりやすいからね。供給量が少なければ、価格は上がるわけだし。
うぬぬ・・・。
 さっき言った1つの企業に支配されている状態を「独占」と言って、ビールのように少数の企業に支配されている状態を「寡占」と言うの。寡占のは気をつけてね。間違えやすいから。
ただ、これは狭い意味。
「独占」という言葉は一般的に「寡占」を含むの。
どっちの意味も覚えておこうね。
そして、どちらであれ、少数の大企業が一方的に決めた価格は「独占価格」って言うのよ。
でも、大丈夫。不当な独占を禁止する「独占禁止法」という法律も、ちゃんとあるわ。
 ちゃんと考えられているのね!
 うん。この法律を守らせるために「公正取引委員会」というのも設置されているの。
企業を監視しているんだ。この、「独占禁止法」と「公正取引委員会」はテストにも出やすいし、過去の入試問題にも出てるわ。覚えておこうね。
 じゃぁ、ここまでをひとまずまとめるわね。

3.独占価格
 少数の大企業が一方的に決める価格(例:ビールのキリン・アサヒ・サッポロ・サントリー)
独占(1つの企業に支配)
寡占(少数の企業に支配)
  →消費者が不利益(都合のよい値段・生産量の調整)
  →対策1「独占禁止法」(1947)
   対策2 公正取引委員会

<公共料金>
 次に、市場の競争では決まらないもう1つの価格。公共料金にいくわ。
 水道代とかガス代とか、親がケチくさく節約してるやつだな?
 そう。でも、 節約はとっても大切なことよ。何でも大切に使わないと。
水道代やガス代や電気代、バス代や電車代。そーゆうのは、いきなり高くなったら困るよね?
使わざるをえない、生活に密接なものだもの。
 うん。今でもお母さん、高いーって嘆いてるのに、これ以上高くなったら大変だよぉ。
 そうそう。だから、国民の生活に欠かせないものの価格については、政府や地方公共団体に認めてもらったり、政府や地方公共団体が直接決めたりしてるのよ。
 簡単だけど、ここまでまとめるわね。

4.公共料金
電気、ガス、水道、鉄道、電話などの料金・・・国民生活に大きな影響
 →政府や地方公共団体の認可が必要

<物価>
 じゃぁ、次に物価の話をするわ。
今までは、それぞれの商品につけられたそれぞれの「価格」の話をしてきた。鉛筆1本100円とかね。
この色んな商品の価格を総合して平均したものが「物価」よ。
 ・・・・・・。は?
 物価は売り買いする値段じゃないから、つかみにくいんだけどね。
「最近、物の値段があがったなー」とか。今なら「最近、物の値段が下がったなー」かな。
そーゆーことってないかな。
 うーん。お父さんやお母さんは、「デフレで物の値段が下がってきてるわー」とか言ってましたけど・・・。
 うん。そんな感じ。とにかく、色んな物の値段が上がったり下がったり。物の値段全体の平均のことを「物価」って言うの。「デフレ」の話は後でするね。ちなみに、「物の値段」には、牛乳とかタンスとか目に見える「財」の値段と、マッサージや映画とか目に見えない「サービス」の値段の両方が含まれているわ。
 う〜ん。なんか掴みにくいけど、「色んなもんの値段が下がったなー」とか俺らが考えてる「色んなもんの値段」のことが物価なんだな?
 えーっと。それが、「物価」に近い、と言うことね。
じゃぁ、もっと具体的に言うね。
物価っていうのはきちんと政府が計算して出しているのよ。
どーゆーことかって言うと。イカやエビ、食パンやアンパン、ワンピースやスカート、体温計やパソコン、駐車場の料金や塾の月謝などなど。何百もの商品の値段の平均を調べるの。毎月調べてるのよ。
それをぜ〜んぶ足して、平均を出すわけ。
 それって、めちゃめちゃ高い金額になるんじゃないですか? 何百もの商品でしょう? くらくらしちゃう。
 そうなの。金額なんて想像もつかないくらいに高い。だから、物価っていうのを皆がつかみやすくなるようにって、「指数」っていうもので表しているのよ。
政府って結構色々やってんだな・・・。
 うん。そうね。総務省の統計局統計センターっていうホームページ行くと、見れるわよ。
で、指数とは何かってことなんだけどね。
ある時期の物価÷基準の時期の物価×100
で出した数字のことなんだ。分かりにくいと思うから例を出すね。

昭和60年代が、あるわきゃないけど、物価が50円だったとする。
平成2年が、75円だったとする。
平成12年が、90円だったとする。
そして、物価がどんな風に変化してきたのかな?ってことを知るために、平成60年代を基準にする。
そうすると・・・。
平成60年の物価指数=60円 ÷ 60円 × 100 = 100
平成2年の物価指数 =75円 ÷ 60円 × 100 = 125
平成12年の物価指数=90円 ÷ 60円 × 100 = 150

ね?物価が上がると、だんだんと物価指数も上がってきてるのが分かるでしょ?
こうやって、どっかの年を基準として物価の変化を見やすくするために、指数があるのよ。
 基準とした年は、その年の物価と基準の物価が同じ金額になるから、物価は100なんですね?
 その通り! 基準とした年の物価は100になるのよ。
で、物価指数には、実は2種類あるの。卸売物価指数と、消費者物価指数よ。
卸売物価指数は、商品の卸売価格の全体の平均を出したもの。物価の移り変わりがよく分かるわ。
 卸売価格は、「市場価格」んとこでやったよな。生産者価格の一歩後で、俺らが買う小売価格の一歩手前の価格だな。
 そう。私たちが買う前の段階の値段だから、商品の全体の値段の移り変わりがよく分かるわね。
その反面、消費者物価指数は、国民の暮らしを知るための物価指数なの。だから、日常生活に関係の深い商品だけの価格を平均しているわ。んでもって、消費者が買う商品を対象としているから、原油とか建設機械とかは含まれない。その代わり家賃とか外食とか卸売物価指数には入っていない身近なものも入っているの。
 ほとんどの場合、卸売価格じゃなくて、小売価格で私たちは物を買ってるんだもんね。
そっちのが身近に感じるな。
 ええ。私たちの暮らしを想像しやすい物価指数ね。
まぁ、でも、さっき寿君が言ったように、たいていは「色んなもんの値段が下がったなー」って私たちが考えた時の漠然とした「色んなものの値段」を物価として考えちゃっていいわ。
どちらにしろ、何百もの商品の値段を総合しているし。誰も、ちゃんと計算された「物価指数」を気にして「物価」について語ってるわけじゃないもの。
 う−む。しっかし、相当な数だなー。
じゃぁ、さっき後で話すって言ってたデフレってのは何だ?
 その話に今からようやくいくわよ♪ さっき説明した物価。これが継続的に下落していく。どんどんどんどん金額が安くなっていく。この状態を「デフレーション」。略して「デフレ」と言うの。
 えーっと。物価は全体の物の値段の平均だから・・・。私たちが買う商品が安くなるのね!!
それって、私は嬉しいけどなぁ。欲しいものが安くなるんでしょ?
 そうね。1万円払うと買えたドライヤーが、100円払うと買えるようになる。というように、少しのお金で物が買えるようになるから、貨幣の価値が上がったとも言えるのよ。
でもね、デフレは実は厄介なことなの。
例えば、技術が発展して簡単に安くパソコンが作れるようになった。これならいいこと。技術も発展してパソコンの価格が安くなるんだもん。でも、物価が下がるってことは、あらゆる商品全体の値段が下がるってことでしょ? そうすると、お店の人はもうからない。もうけ、つまり「利潤」が少なくなっちゃうの。社会全体でね。
 利潤? なんか、「市場価格」んとこでやったな。
 よく覚えてるわね! 利潤がないと会社が大きくならないもの。でも、値段が下がったら利潤は少なくなる。会社側は困っちゃう。そして、どうするかって言うと、皆のお父さんの給料を少なくしちゃうのよ。今はちょうどこの状態でね。あちこちの企業が給料カットを進めたりしているわ。
 それじゃぁ、家が困っちゃうよぉ!
 そう。困っちゃう。場合によっては給料を払うこともできなくなって、社員をクビにしたりすることもあるわ。とにかく、手に入るお金が減ってしまうの。そうすると、家に入ってくるお金が減って、結局前よりも皆が物を買えなくなっちゃうの。
 でもよぉ。前より物を買えなくなったら、また会社は困るじゃねーか。物が売れないんだからよ。
 その通り! だからまた会社は値段を安くするの。
 待って! そのままじゃ安くなるばっかりで、給料も少なくなって、皆の生活も苦しくなってっちゃうじゃん!
 よく気づいたわね! ぐるぐるとデフレの状態が繰り返されちゃう状態のことを「デフレスパイラル」って言うのよ。「スパイラル」は「らせん」という意味。らせん階段って言うでしょ?
 恐るべし。デフレスパイラル・・・。
 そして、逆に物価がどんどん上がっていく状態のことを「インフレーション」。略して「インフレ」と言うのよ。たくさんのお金を出さないと物が買えないから、貨幣の価値が下がった、とも言えるわ。
 う〜ん。物の値段が高くなっちゃうのも、やっぱりやだなぁ。
 そうねぇ。ただ、物が高く売れると社員の給料も増えるから、皆の家に入ってくるお金も多くなるわ。だから、皆にとってはまだいいかもしれない。でも、もう定年を迎えて会社を辞めた人にとっては辛いことね。もらえる年金の額は決まってるから、もらえる金額は変わらないのに物の値段だけ上がるんだもん。生活が厳しくなっちゃうの。
 じゃぁ、ここまででまとめるわね。

5.物価:いろいろな商品の価格を総合して平均したもの(食料品や衣類など何百種類もある)
 →指数であらわす
 ・物価指数=比較したい時期の物価 ÷ 基準の時期の物価 × 100
   @卸売物価指数:卸売価格の物価指数(原油などの原料も含む)
   A消費者物価指数:消費者が購入する、日常生活に関わりが深い商品の物価指数
     (原油などは含まない。外食や授業料など)
   Bデフレーション(デフレ)
    物価が継続的に下落し、貨幣の価値が上がること。
    影響:企業のもうけが減り、倒産が増える。失業者が増加する。
    ※デフレスパイラル・・・デフレの状態が繰り返されること
     安売り→会社もうからない→給料減る→家計引き締め→安売り
   Cインフレーション(インフレ)
     物価が継続的に上昇し、貨幣の価値が下がること。
     影響:一定の収入(年金など)しか得られない人の生活が厳しくなる。

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