Air

<Airの解釈と感想>

遠野美凪〕 〔神尾観鈴 1 2 3〕 〔国崎往人〕 〔全体


・ 霧島佳乃 ・



診療所の次女さん。
お母さんは佳乃が3歳の時に亡くなる。
お母さんは空にいて、見ていてくれている。
聖はそう佳乃に教えた。
お母さんに会いたい。だから空へ行きたい。翼がほしい。
佳乃はそう願った。

このまま何も起きなければ、いずれ辛い過去も思い出も過去のものとなり、姉妹で仲良く何事もなく暮らしていったでしょう。
日常って幸せだなぁって感じます。
Airというのは、「母親」がキーワードになっていると思います。
佳乃の場合は、「母親がいない」こと。
ここがポイントだと思います。

お母さんが亡くなった最初の夏。神殿の中の御神体である羽根に触ってしまいます。
聖が最初に触り、妹に渡しました。
それから、佳乃は知らないうちに外を歩いたり意味の分からない独り言を言うようになりました。
夜中にメスを手首に押し当てていたりもしました。
聖はバンダナをつけさせました。手首を切ろうとしても、バンダナを見れば正気に返ると思ったからです。
「大人になるまでずっとつけてなさい。それまでずっと外しちゃいけないよ。そうすれば魔法が使えるようになる」
そう言ってつけさせました。

とっても悲しいです。
むしろ聖をヒロインに持ってきてくれ!ってな具合です(泣)
ここらへんで、聖の過保護も仕方ないなって思います。
愛する佳乃が、たった1人の妹が、死んでしまうかもしれない。
それはすごく恐怖でしょう。
なんか言葉で書くと安っぽくなっちゃいますが・・・。
それに、自分が羽根を渡したせいなのですから・・・。
責任すっごく感じちゃうでしょう。
何とかしたいって思いも相当です。

佳乃のその状態を何とか治そうと、医者になるって後を継ぐ聖!
でも、結局治す方法が見つからない。
「私は今まで、何をしてきたんだろうな」
「妹を救うなんて言っておきながら、なにひとつできなかった」

努力もして、心から祈って、それでもどうしようもできないっていうのは、すっごく悲しいことだと思います。自分の無力を感じるのが1番辛いです。
努力すれば成功するっていう可能性があるってことは、とても幸せなことなんだなって思います。

でも反面、佳乃にとってはその過保護は少し重荷だったのかもしれません。
往人もそう言ってましたが。
何も手伝えないでお父さんは亡くなってしまった。
だからお姉さんの仕事を手伝いたいのに、手伝わせてもらえない。
いつでもお姉さんが助けてくれる。
頑張ってるお姉さんに対して何も手伝うことができないっていうのも、なんだか自分の無力感を感じてしまいそうです。

佳乃は魔法が使えたらお母さんに会いたいと言っています。そして謝りたいと。
お母さんは体が弱くて、佳乃を産んでから、起きて寝てを繰り返すことになってしまったようです。
そこで往人が「謝るんじゃなくて、礼を言うべきだ」と言います。
「『産んでもらってごめんなさい』なんて言われてみろ。俺なら激怒するぞ」と。
佳乃は何度もうなずきます。

この言葉には、往人が前へと進んでいく反面、佳乃は停滞しているような印象がありました。
また、往人が生きよう!!としている反面、佳乃は亡くなっている母に思いを寄せるという対比が、佳乃の脆さを現しているような感じがしました。
でも、佳乃は、「ありがとう」なんだ!ってことを知ります。
ラストで、往人が道をつなげた時、お母さんの差し出す手をとらずに帰ってきました。
「あたしを生んでくれてありがとう」
そう言って、今ある往人との日常を選んだのです。

順番が前後しますが、自分の異常に気づいていた佳乃。
自分が治らないとお姉さんである聖も、ずっとムリしていかなくてはならない。
往人の首もしめてしまい、何とかしなきゃと必死だったでしょう。
皆が幸せになれるように、空にいこうとします。

どの話にも不器用ながらも懸命な愛っていうのが共通してあると思います。
「母性」「慈愛」といった感じの。
佳乃には母がいなかった。
でも母代わりとして聖がいた。
母代わりになれるように、懸命に頑張る聖。
でもどこかぎこちなさを感じます。(過保護すぎたり)
完璧ではない、1人の人間としての不器用な愛。
そんな感じです。

そして佳乃も、最初は守ってもらってばっかりだったけれど、
姉からの独立の一歩(「泊まってきていいよ」からも分かるように)。
そして、みんなの幸せのための行動。
やさしい愛!!を感じます。

佳乃の話は、男女の恋愛も、家族愛もありで、お得感漂います。
ただ、美凪や観鈴は救われないわけ?っとかちょっと思っちゃいますけど(^^;
でも、空の少女は間接的に救われたと思います。
詳しくは「神尾美鈴編1」のページに書いてありますけど。
神奈は心を打ち砕かれ、自分のせいで柳也が死んでしまう夢を見てました。
それが神奈の最後の記憶でしょう。
なので、柳也の子孫である往人は幸せに暮らしてるよーっと。
その記憶を空にかえすことができれば、いいんだと思います。
神奈の羽である御神体は最後に消えてますし、その役目を担ったんではないでしょうか。
自分のせいで苦しむこともなく自分の幸せを追求して暮らしている往人。
それは、空の少女が望んできたことでもあるでしょう。
往人の力が最後になくなったのは、もう空の少女を探す必要のなくなったサインかな。

どうして御神体である羽根によってあんなことになったかって言うのは・・・。
白穂が幸せだった日々に落ちてきた羽根。
この羽根は家族3人でいる時に落ちてきて、子供である八雲に手渡しました。
聖が佳乃に手渡したことと重なります。
それから、夫が戦で死に、子供も痣のせいで贄として差し出さねばならなくなり、身代わりにと白穂が自殺するまでの間、羽根はずっと一緒でした。八雲の遊び道具としてです。
羽根は、神奈のものだと思います。(みちるの「もう1人の自分がここいる」という言葉から)
翼は人の記憶を司ります。
観鈴は、夢を見て、記憶を思い出してゆくたびに、翼の痛みが増していきました。
羽根はきっと白穂たちの記憶を覚えていたのでしょう。
聖は、すでに母の死を乗り越えていたものの、佳乃は受け入れておらず、空にいると信じていました。羽根への期待も大きかったでしょう。また、目の前で母親に死なれた八雲の悲しみともリンクしたのかもしれません。
何度も佳乃が自殺しようとしたのは、白穂と同じ行動(首締めと手首を切っての自殺)をしていることから、白穂の無念が宿ったのか、八雲の悲しい記憶が宿ったのかどっちかでしょう。
こっちはやっぱり釈然としません。

どうでもいいことですが、佳乃の「〜〜1号」とか好きです♪
終わってから、メモってけばよかったかな、とか思ってます(笑)
これからやる人でメモる人はぜひぜひ報告よろしくです☆

ラストは釈然としませんが、いつかいなくなってしまう人を好きになる切なさに胸キュンでした。
自分がもし佳乃りんだったら、「好きな人の人生を邪魔したくないけど、でも側にいたい!!」っていう葛藤で大変なことうけあい。
観鈴の後だと観鈴はどうするんじゃーって気分になるから、一番最初に佳乃りんのラストを見るのが一番かなって思います。そしたら、切なさに酔えるのではないかと♪
でも!!!「神尾美鈴編 1」を読んで納得できれば、2回目からはどんな順番でも気持ちよくできるはず!
独自の解釈ですけどね。
一番私にとっては収まりいいです。


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