＜Ａｉｒの解釈と感想＞

〔霧島佳乃〕　〔遠野美凪〕　〔神尾観鈴 1 2 3〕　〔国崎往人〕


・　全体　・

ところで、空だけでなく海へ思いを寄せる場面が何度もありました。
その理由として、美凪編での言葉でふと思いました。
想いを込めて伸ばした指先が辿り着いたのは、どこまでも広がり、やがて水平線の彼方で空と交わる海。
という言葉があったのです。
翼がないので実際には飛べない。海を見ると必ず水平線は空とつながっている。
だから海にも惹かれるのではないかと。
特に観鈴は。
空と海が同じ青でつながってますからね。タイトル画面も。
あの絵を見ていると、海をつたっていけば空に行けるような感じがします。
でも、本当につたっていけば、無限と思えた海には限りがあります。
無限は終わるのです。
最後の子供だちは、無限に思える海にも限りがあること、そして悲しい記憶の引継ぎにも限りがあり、もう終わったことを言ってるのだと思います。

Ａｉｒってゲームの面白いところは、選択肢が「サマー編」で全くないってことでしょう（過去ですし）。
そして、自分が選んだ選択を「エア」編で見せつけられるってところでしょう。
人間ってやっぱり後悔するものだと思うんです。
「あの時こうすればよかった」
「あの時こう思ってればよかった」
って。
そういう後悔を「エア」編でとっても感じさせられます。
もっと観鈴を抱きしめたかった。ずっと一緒だって言いたかったって。
それでも、どんなに後悔しても過去は変えられない。
だから、今できることをしたい。
にも関わらず、自分には何もできない。
「サマー編」でも過去のことだから、助けることもできない。
その無力感をすっごく感じさせられます。
神奈の悲しみだけでなく、観鈴の死さえ止めることができないのですから。

観鈴編でもそうですが、佳乃編や美凪編でも、「他の女の子はどうなるんだ！」って思っちゃいます。
例えば佳乃編なら、美凪も観鈴も救われないんじゃないか？と。美凪は夢見てるままで、観鈴は１人ぼっちのままか？と。
どの女の子とエンディングを迎えても、プレイヤーは他の女の子がどういう状況か知ってるのですから、いいのかなーっと思う気持ちがあります。。
そういう痛みを乗り越えていけと、晴子がそうしたように悲しいことがあっても足を踏み出せと。
なんだかそう言われてる気がします。
自分の無力を感じることもあるし、どーしょーもないこともあるけど、それでも元気でやってけと。
晴子がエア編で、観鈴を探し続けるそらに向かって「いかな、あかんで」と言います。
これは、まだ悲しみに、このゲームにとらわれてるプレイヤーに言ってるような感じがします。
最後の晴子のスチルでは、前へ進みながらこちらに手を振っています。
「ほな、元気でやりや〜」と。
Ａｉｒっていうゲームの中で、色んなものを乗り越えてきたような気になります。

観鈴編でも佳乃編でも美凪編でも、ずっと最後まで「空の少女」の存在があります。
佳乃編では代わりに風船に空へ行ってもらおうと言い、美凪編では空の少女を探しにまた旅へでます。
ずーーーっと最初から「空の少女」がしつこいくらいに出てきます。
往人のいないサマー編でも、神奈は空の少女となるのですし。
「空の少女」にプレイヤーがとらわれていくと思います。
しかし、最後の最後に子供２人が現れて
「そして僕らには始まりを」
「さようなら」
と言います。ここで、このゲームとの別れを宣言されたような感じもします。

そんな感じで受け取ると、後味スッキリです。
私もこれから始まるんだーって気分になってきます（単純？）
それから、家族っていいなーっと思います。
晴子の言葉で
「すごかったんやなぁ、家族て」
「このうえない幸せと、このうえない辛さ…すべてがそこにある」
「それはまさしく人が生きる、いうことや」
「せやから、うちは生きとった」
「この二十八年間で一番、生きとった」
「がむしゃらで、ボロボロで、強くて弱かった…」
って言葉があります。
佳乃編でも美凪編でも、そしてこの観鈴編（エア編）でも、このことは感じると思います。
完璧な家族とか理想の家族っていうのは、ないでしょう。
がむしゃらに、ボロボロになって、強かったり弱かったりしながら、幸せや辛さを抱えてつくっていく。
そんなものかなーって思います。

命っていつ終わるか分からないし、短いし、今やりたいことをいーーっぱいやっておかないとなって思います。
自分にとっての幸せって何かなーって、Ａｉｒをやると思いますね。

「過ぎるから思い出にできるんだぞ」
「いつまでも同じ場所にいたら思い出もできない」
「ずっと、今の自分のままなんだ」
「それは･･･悲しいことだね」
「だろ。だから、夢はいつか終わる」
「そして新しい季節がやってくる」

うだうだ言うよりも、往人とみちるのこのセリフに全てつまってる気もします。
Ａｉｒって本当に、心に残るセリフ多いです！
たくさんの言葉に感動させられました。
ほんっと、好きです。
いいなぁ･･･☆

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